不便を楽しむ。スマホがない不便さが気づかせてくれたこと。

以前、スマホを失くして見つかって、カメラが壊れていた話を書いたのです。

どうするのかグズグズしていたんですが、いちおうApple careとやらにも入っていることだし、Appleに配送修理に出してみることにしました。修理費を正確に出してもらって、その上で修理するか返却するか決めるのです。

そういうわけで、手元にスマホは無く。

そういう時に限って、どうしても足さなければいけない用があり、札幌中心部にお出かけしなければならなくなりました。

スマホはSNSやニュースを見たり、調べ物したり、日々欠かせないものにはなっているんだけど
その用途の中でも、わたしの中では「Googleマップ」!地図が超重要なのです。

さて、街中にでるのだから、あのドラッグストアにも行きたい。あ、ここ美味しそう。
あの大好きな喫茶店にも行きたいぞ。

となると、いつもならGoogleマップに連れて行ってもらっていたのです。
それがない。急に不安になってくる。いんや、不安どころかたどり着けなさそうだ。

とりあえず、まずは第一に、用事があるビルにだけは絶対に予約時間に遅刻しないように行かなければならぬ。

紙を用意した。予約時間と、住所とビル名。
そのビル付近の地図を見ると、大通駅の地下鉄12番出口そばにあるようだ。

たぶん、12番から出れば何回か行ってるんだもん、景色も少しは覚えてる・・・はず。
紙に、出口の番号と、近くにある商業施設の名前も入れた簡単な地図を書いた。

いちおう、行きたい喫茶店も書いておいた。が、駅から離れているし、
ちょっと中道だし、難易度高い。すでに諦め気味だが、いちおう書いた。

さて、当日。最寄りの駅まで送ってくれた夫と別れ、いよいよスマホなしのお出かけが始まる。

待ち時間や地下鉄に乗っている時間に、いつもならスマホでなんやかんや見ているのだけど、
それはできないので、今日は文庫本を持ってきた。軽いし、小さいし、かさばらないし、ちょっとした時間を有意義に過ごせる読書の時間となった。

地下鉄を降りて、予約時間まであと30分。12番出口も確認した。出口からはほんの数分だから、めっちゃ余裕。やればできるじゃないか。まだ目的は達成されていないのに、ほぼ達成した気分になった。

大通駅にある、地下の本屋で気になる本をチラ見。お向かいの立ち食いそばも絶対食べたい。
大好きなんだよね、ここのかけそば。

時計をチラッと見るとあと20分か。遅刻したら嫌だし、ソワソワするからちょっと早いけど、もう行っちゃおう。

12番出口からでた。10月とは思えない気温だ!!!あったか〜い・・・とホコホコした気持ちが一瞬で転じて「え、ここ絶対違う!」

そ、そんなまさか。たしかに地図で確認したら12番の近くだったのに・・・
でもわかる、このへんにあのビルはない!

し、しまったどうしよう。即座に調べることもできず、電話もできない。

はッ・・・住所書いたわ。え、なになに北3条西1丁目?

私は、札幌生まれ、札幌育ちなのに未だ札幌中心部の碁盤の目が理解できていない。

なので「北に進む」と言われても、「北ってどっちじゃ」となってしまうのだ。
札幌育ちではない夫は、完璧に理解している。なぜだ。なぜなんだ。


スマホがない。スマホがないので自分の脳みそコンピュータをフル回転・・・

「はッ!札幌駅は北5だか6だかだったような・・・てことは札幌駅に向かって歩けばいいのか!」

さすがに札幌駅はどっちに向かって歩けばいいかわかる。

いそいそ歩き出した。高校生が一生懸命に赤い羽の募金活動をしている。
最悪、この子らに最終的に聞くしかない。しかし邪魔したくないので、なるべく頑張るぞ。


急ぎ足でほんの3分くらい歩いたところだったと思う。

信号機の横に住所が書いてあって「北3西1」とあるではないか。

間違って居た場所から、正しい場所までたった3分ほどの距離で、Googleマップがなくて絶望していたなんて・・・。

しかし、お目当てのビルはない。キョロキョロしていると、当初の目印であった12番出口が。
地下鉄の出口ではなく、地下歩行空間の出口だったのだ・・・

ということは、間違いなくこの近く。そうだ、地図を書いたわ。
バッグから書いた紙を取り出す。

なんだこのクソみたいな地図は!?
書いたのは紛れもない自分。


再び絶望しかけたそのとき、12番出口に周辺の地図が記してあった。

良く見ると、お目当てのビルも書いてある!
信号を渡ったすぐそこだった。

ゴールだ!なんだろう、この感覚。達成感。なんだか懐かしいような感じ。
スマホを持つ前までは、みんなこうだったはず。

携帯もピッチもない時代、みんなこうだった。
家を出たら、あとは待ち合わせ場所で集合時間にくると信じて待ってた。
場所がわからなければ、紙の地図を見たり、通りすがりの人に聞いてた。

すぐに出ない答えにイライラしないで考えてた。



スマホを持ってから、いつも下を向いて画面ばかり確認してた。
でも、スマホがないっていうだけで、なんども来たことがあるはずの場所がとても新鮮。
ここを曲がったら、あの建物かな?あ、ここを通ったらどこに出るのかな?


最短距離ばかり行くことに気を取られないで。回り道する楽しさを思い出して。

自分のこの目で、きちんと見てる。

たった0.1秒であふれる情報。とっても便利。
でも、誰かがくれるあふれる情報のかわりに失っているものがある、きっと。


スマホは、効率的だし、事前に調べることでかなりの物事を想定内にできる。

だけど、いつの間にかそういうものに支配されてる。

支配されていると、非効率なことにイライラして、想定外のことが起こればただオロオロする。

無駄を楽しめば、もはや無駄ではない。
想定外のことが起これば、その時点からどうしたらいいか頭をフル回転させて工夫する。

そういうことをすっかり忘れかけていたような気がした。

なんどもなんども行ったことがある場所なのに、スマホがなければ道がわからない。
いかに自分の目で景色を覚えず、頭で道を考えず過ごしてきたんだろうと気づいた。

ビルを出て、景色をこの目でよく見た。

わたし、いま、誰とも何にもつながっていない。

でも不安なんかじゃない。

今日の楽しかったこと、帰ったらたくさん夫に話すんだ。
大冒険だったんだよって。


したっけね!(*´︶`*)ノ”

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