日の出は語る。大切なこと。

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初めての試み。年越しキャンプ

北海道に生まれ育ち40年。

そのはずなのに、寒くなってくるともう外出が億劫になる・・・。

20代はスキー、スノーボードで冬山に遊びに行っていたりもしたんだけど
30代も中盤になってくると、「寒い」という理由で行かなくなってしまった。



わたしの趣味はキャンプとバイク、シュノーケリング等、雪がない時の遊びばかりで
12月から3月までは家で本を読んだり、絵を描いてるくらいしかないのだ。(うちはテレビがない)


そして夫もわたしとだいたい同じで、つまり結婚してからの冬はふたりでコタツに
刺さって本を読んだり、映画を観たりしてダラダラしていたのだった。

そんな夫が2022年ももうすぐ終わるよ、という時。

「俺・・・冬キャンプ・・・してみたい・・・」とつぶやいた!

「そうか。じゃ、やろう。やりたいことはなるべくやろう」

わたしは食い気味に、そしてなめらかに、なんの迷いもなく答えていたのだった。

「え!でもシュラフは買わないとだよ。1万5千円・・・」

「マイナポイントをブッこむから安心しろぬん」

「かっこいい・・・スキ・・・」


我が家は財布が1つの運命共同体。
1万五千円の買い物は高価であるという認識はぴったりと合っている。


財布が別でそれぞれバリバリ稼いで好きに使うタイプの家ではなく
バリバリ稼がないうちらのような夫婦は、家計を共有し、お互いに現状を把握しているということ、
暮らしを共にしているという寄り添う心がなにより大切なのだ。


冬キャンプはお金がかかるイメージだし、なにより寒い。

だけど、そんなことよりいつかじーちゃんになった時に
「やってみたかったのに、やらなかった」と後悔させるのも、するのもイヤなのだ。

かといって、今すぐハワイの火山が見たいとか言われたら却下だけどね!笑

キャンプ歴はそこそこ長くなったわたしたち。わたしは17歳から。
21歳くらいのときに当時友達だった夫も誘い、みんなでワイワイキャンプしていたのが
いまふたりで続いている。

買い足すものは少々だったのでビックリするような大きな出費はなく、あるもので頑張るスタイル。
今どきの映えるオシャレキャンプとはならないが、足るを知るの精神。

夫は、毎日ノートになにか書いて唸ったりウフフとニヤニヤしているので覗いてみると
寝る時のマットはこれを敷くとか、忘れ物がないように荷物を書き出したりとか
テントの補修の材料とかを書き出して、実に充実した時間を過ごしている。


キャンプに行く前から、キャンプを楽しんでいるのだ・・・。
それを見ていたらなんだか「寒い」が理由で躊躇してるのがもったいな気がしてきた。

わたしとて、キャンプ歴23年。
「寒いからイヤなんだよな」を言うのはやってから語れるのではないか!?と急速に思い始めた。
やったことないこと、やってみよう。

わたしは腹の中で覚悟をキメていた。
そのとき正月も目前、夫は年越しを外してキャンプに行こうか迷っていた。


「そんなもん、6連休でキャンプいかない選択肢はナイしょ。年越しやったろうよ」と
提案すると、まさか妻がそこまで覚悟を決めているとは思っていなかった夫は大喜びして感激していた。

ふたりでやったことないことやってみよう。
すき焼きにしようとか、帰り温泉よろうとか、カイロ持って行こうとか
まいにち仕事から帰ってきては、あれこれたくさんしゃべった。




さて、迎えた31日。冬キャンプ初心者に優しい日中気温+3℃。最低−4℃。
そこは北海道民。プラスの気温だとあったかい日だと感じてしまう。

わたしの住む町は路肩に雪が積み上げられ、完全に根雪と化しているが
キャンプ場がある町はぜんぜん雪がない!広いね、北海道!

自作のストーブで暖をとる夫





順調にテントを張り、ストーブをつけて楽しい時間を過ごした。
冷えた身体にすき焼きが染み渡った。


次の日、まだ薄暗く陽が昇る前、テントにいると先に外に出ていた夫に
「ぬんぬん、ちょっときて」と呼ばれた。


ふたりでしばし、林を見ていると、初日の出が登ってきてあたりをいっせいに照らし始めた。


「あったかい・・・・!」第一声だった。


冷え切った空気、冷たい顔を温めてくれた。


「冷えた空気がさ、太陽がでたらすっごくあったかくなるでしょ。
 この瞬間が、おれ、大好きなんだ・・・」と嬉しそうに夫が言った。

あったかいってすごい。お日様ってすごい。生きている。

夏のキャンプは、花を見たり、シュノーケリングしたり、外で日にあたりながら読書したり
生き物を探したり、「食べる+眠る」以外のレジャーがなにかしらあった。


それに対し、冬キャンプは生きることそのものが遊びだった。

テントを張り、暖の準備をする。薪をくべて火が消えないように見張る。
食事の準備をしていたら、あっという間に暗くなってきて、日が暮れたら暖かいごはんをいただく。
湯たんぽの準備をして床を温める・・・。それだけで一日が終わっていく。



冷たい空気の中、椅子に座って朝日を黙って見ていた。


なんかわたし、ここ数年「このままでいいのかな」ってばく然と思ってた。

子供の頃から、これだ!って思うものを見つけ、目標にして追いかけていくタイプだった。
目標に向かって頑張っている、夢中になっていることそのものが楽しかったし、そんな自分が好きだった。


でも、35歳くらいからかなあ。これに向かってやるぜ!っていうものがなくて。
仕事もいてもいなくてもいいような、日々ただ時間を浪費しているようで
人生のなんの種まきにもなっていない気がして。

でも、じゃあなにをどうするわけでもなかった。


昇る初日の出。冬色の澄み切ったブルーと輪郭のキリッとした真っ白の雲。

白い息を吐きながら黙って見ていたら
なんだか霧でも晴れるみたいに


「いいじゃない。」


と思った。

だって、わたしの人生で一番望むことは
「好きな人とふたりで、自由に、愛情のある暮らしがしたい」
なんだから。



刺激的で爆発的に楽しい・楽しいことや達成感を得ることの快感も知っているけれど
いちばん欲しいものは、大好きな人と暮らしを共にすること。

「ふたりで協力して暖をとり、ごはんを食べ、眠ること」

いいじゃない。ちゃんと、できてるじゃない。
そんな不安がらなくて大丈夫よ。そのままいって大丈夫よ。


朝日を見てたらなんだか急にそんなふうに感じてきて、
フッと楽になった。

夫を見ると、朝ごはんの支度をしていた。
「お鍋、沸いてきたよ、うどん食べる〜?」

「食べる!!」と元気に返事した。

そう、もうちゃんとここにある。
いま、ここにあるふたりの時間をなにより大切にしていきたいんだ。

したっけね!(*´︶`*)ノ”

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • なんだか私まで救われてしまいました。
    ぬんさんご夫婦の生き方、考え方、感じ方あったかいです( ´ ▽ ` )スキ

    • まんたさんへ
      自分が大切にしたいものって、ほんとうはそう多くはない気がします。
      日々の雑踏に埋もれちゃって本質を忘れがちですが・・・
      読んでくれてありがとう!(*´꒳`*)

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